ページ

2026年3月12日木曜日

3.11によせて & 絵本紹介

 今年で15年となりました。東日本大震災です。会社を退社し、芸術療法の道へ行くと決めたタイミングで起きた震災でした。その頃の私は、会社という、守られた世界で生活していたため、言ってみれば井の中の蛙大海を知らず。その蛙が、大海へと小さな船を漕いでいた真っ最中だったのです。羅針盤もなく、仲間もなく、「あ~どうしたらいいんだろう。会社辞めちゃったしなぁ~」の毎日でした。持病もあり、力仕事はできない。。いやいや、私は芸術療法一本で行くと決めたのだから、これでいくしかないのだ。と自分に言い聞かせていました。 

 福島県はとんでもない災害が起き、世界中の方から"心配"された。海外のセレブと言われる方や、当時の大統領の口からフクシマという言葉が聞かれたときは、椅子から転げ落ちそうなほど驚いた( ゚Д゚)ライフラインが落ち着いたころ、所属する色彩心理協会と臨床美術協会のアートボランティア活動に加わり、さまざまな被災地をまわった。(臨床美術での活動の様子は「東日本臨床美術りぼん」で紹介しています)

 さて、大海へと漕ぎ出した私は、とんでもない荒波にのまれつつも、これまで培ったノウハウだけで活動に参加したのでした。他県の被災された方々からは「福島も大変でしょう?」と気遣われました。そして、「ありがとう」と感謝され、お茶までごちそうになったりして。。逆に励まされました。頭でっかちさんが人の深い心に触れることで、芸術とはなにか。芸術の存在意義とは何か。と考えるようになりました。有事の際のアートと日常生活の中のアートは(提供の仕方も声掛けも)まったく違います。同じ作品を制作していても、大人、こども、親子、高齢者となるとまたそれぞれ違ったものになります。当時の被災地支援の在り方も本当によく考えました。絵を描いていると当時のことをぽつりぽつりとお話しする方がいらっしゃいました。私たちはカウンセラーではないので、楽しく一緒に絵を描くだけの人。なのに、(だからなのか)、当時の辛い記憶を話してくださいました。手を放してしまったこと。ペットを助けられなかったこと。家の境界線さえもないこと。もう、何も言えません。励ましの言葉?そんなもの思いつきません。ただ、お話しくださつた高齢の方の言葉を一つ一つ理解して受け止めて、時間を共有することしかありません。おそらくその方は、「この人たちなら」とどこかで思ってくださり、辛い胸の内を話してくださったのかもしれません。

 そして15年たった今でも、たとえ普通の顔をしていつも通りの生活をしていても、やっぱり心の中では「そうか、15年か。早いな」と思ってしまうのです。「あの時のおばあちゃんたちは元気だろうか」「ボランティア活動の最終回の日は辛かったな」と思ってしまう。普通の顔をしながら。私たちは今日からまた一年、しっかり生活していくことで少しずつ癒されていくのです。

 絵本を紹介します。「あおのじかん」文と絵はイザベル・シムレール。この方は細い線を幾重にも重ねて表現します。「あおのじかん」では、動物や昆虫などを美しい青の世界とともに紹介しています。地球のどこかで静かに暮らす、人間以外の生き物たちの太陽が沈みかけ、夜になるまでの少しの間を描いています。心を静かにして過ごしたいときの一冊です。



 

 

3.11によせて & 絵本紹介

 今年で15年となりました。東日本大震災です。会社を退社し、芸術療法の道へ行くと決めたタイミングで起きた震災でした。その頃の私は、会社という、守られた世界で生活していたため、言ってみれば井の中の蛙大海を知らず。その蛙が、大海へと小さな船を漕いでいた真っ最中だったのです。羅針盤もな...