2020年8月11日火曜日

臨床美術の鑑賞会とは


5月が誕生日なのですが、そのさい、参加者さんからいただいた誕生日プレゼントです。心のこもった贈り物です。花束は、野の花や庭に咲いていた紫陽花などをひとつひとつ積んで束ねあります…あたたかな優しさが伝わってきます。
添えてあるカードには、「あなたの言葉に元気をたくさんもらいます。あなたの笑顔にしあわせをたくさんもらいます。ありがとう」と書いてありました。この言葉を選んだ理由は、「臨床美術の鑑賞会で、私たちにたくさん言葉をくれるから…」とのことでした。臨床美術の鑑賞会は、ただ褒めているわけではなく、その方がどんなところを頑張っていたのか、どんなところに力を注いだのかという部分もお伝えしています。つまり、褒めている…という感覚ではなく、私(講師)は、こう感じたのだけど、みなさんはどう感じますか? という“セッション(対話)”です。鑑賞会は、臨床美術で一番大切な時間とされています。えぇ、作るよりも、、、、と言っても過言ではないくらい。
 この対話は、コミュニケーションです。会話がうまくできない方であっても、臨床美術士は、この関係性を決して一方通行にはしません。なぜなら、言葉では表現できないことが、この世の中にはたくさんあることを知っているからです。臨床美術士は作る行為の中に、言葉を越えた感覚を常に感じているからです。手の中・心の中から生み出されるものは、ジレンマとの闘いであることも知っているのです。
 今日の福島は38度。無言になってしまいます(汗)。絵が描けなくても、流ちょうに話せなくても、思い切って扉をたたけば、臨床美術の世界はひろがっています。